浅野川 大杉谷 医王山の沢
今回は所属山岳会の同期K村さん(歳は大分上)と地元浅野川の沢に行くことに決めた。
以前から’医王山の沢’に行きたいと思っていた私であるが、なかなか興味がある人もいない。豊吉川は仕方ないので単独で遡行した。
やはり単独では危険が多いので、色々声をかけた所K村さんが行こうと言ってくれた。
K村さんは釣りをメインに沢登り・山スキー 時々フリークライミング・アイスクライミングをこなす渋い男である。
渋いだけではなく国立のK大卒というインテリぶり。加えてタンザニアに居たというし本当に面白い人という言う他表現しようがない。
大杉谷というあまり聞かない沢であるし記録もほとんどないが今回行って本当に良かった。
入渓してしばらくは本当に何にもなく少し冷や汗をかいたが、途中から悪い雰囲気の沢になり滝のオンパレードになる。
直登が難しい沢も出てきてロープを出す。中盤には大きな滝も出てきて’こんな沢にこんな滝が’と驚かされる。
加えて後半は怒涛のスラブ地獄で非常に面白いクライミングを楽しむ事が出来た。
個人的には素晴らしい沢だと思うし、いつも入門沢ばかり言っていて少し物足りない方にはぴったりの沢ではないだろうか?
厳しい滝あり、嫌な巻きあり、スラブあり ロープを出せばロープワークの経験も積むこともできる。
是非石川県民だけではなく多くの遡行者で賑わって欲しい沢である。
実はこの遡行で熊と鉢合わせになった。
中盤の簡単な場所を歩いている時、水線上に倒木があったので少し横に逃げながら草をかき分けて進んでいる時と
目の前に大きな黒い塊が見える。本当に目の前・・・2mぐらいである。本当に大げさではない。ちなみに匂いは全くしなかった。
完全にびびった私はすぐに踵を返してk村さんに報告、私は熊の背中しかみておらず顔もみていない。
K村さんが熊を威嚇するとすぐに熊は斜面を駆け上がっていった。
熊のサイズは非常にデカく、あの大きさで襲われたら簡単な怪我では済まないだろう。
’熊の目撃情報’は度々ニュースで流れているが、まさか私が目の前役2mで目撃するとは思ってもみなかった。
私はいつも熊鈴を携帯していないし、今回も携帯していなかった。効果がどれほどか分からないし、煩いから敬遠していたのだ。
だが今回思ったのは人間から何かしら音を出していればこれほど近くで鉢合わせる事はなかっただろう。
熊には全く責任はなく、人間は勝手に熊のテリトリーに侵入しているだけである。
次回からは熊のテリトリーに入る際は少し大げさな挨拶をしなければならない。
帰りは綺麗に整備された登山道を降るだけ、また医王山の登山道が素晴らしく楽しい。
行きも帰りも何一つ不満が出ない山行になるとは入渓した直後には思いもしなかった。
是非オススメしたい沢である。
0800 湯涌から通じる上山町の林道に車を止める
金沢市街から20分ほど。
0815 少し林道を進んでから入渓。
え?こんな場所から入渓?と驚くと思う。
薮いし、小さいし入渓地点とは思えないのだ。
入渓してしばらくは本当に何もない沢が続く。
堰堤が2個ほどあるが、巻道も付いているので心配ない。
0900
「飽きてきましたね」と私の言葉を覆してやる!という勢いでいきなり滝が出現。
今までの明るく平凡な雰囲気が一気に暗く悪くなる。
0915
CSのような6m滝
右岸から巻けるが、あえて直登に挑戦。
カムで支点ををとり登るが、最後の一手がない。水の流れも強く無理して登ると吹き飛ばされそうだ。
ここは本当にのぼれるのだろうか?
結局右岸から巻いて進む
1145
10m滝
おそらくこれが大杉谷最大の滝と思う。
ハングしているので直登は無理。 ハーケンの練習を兼ねて登る。
水線を意識しながら登るつもりが、あまりにも手がかりがなく右にあるルンゼに逃げる。
1230
階段状のスラブ
12mはあるだろうか。とにかく滑るので難儀した。
左から草付きを登る。
ここを超えてからはスラブ地獄が続く。
フォローのK村さんにお助け紐を出しながら進む
1300
ようやく登山道に出る。
予想以上に時間は掛かったが満足度は非常に高い。
綺麗に整備された道を降る。
1450
駐車場所に到着
予想していた以上に楽しめて本当に良かった。
こんな近場にこんな良渓があるとは幸せである。
タイム
駐車場0800-入渓0815ー登山道1300ー駐車場1450
日程:2020年10月11日(日)
場所:石川県金沢市
人数:2人 K村さん
推奨装備:30mロープ スリング カム
ソール:ラバーを使用 前半の苔に難儀したが、後半のスラブではバッチリグリップしてくれた。
フェルト・ラバーどちらもそこまで優位性はなさそう。
難易度:初級
駐車場
備考
・ラバーソールを使用 結果非常に滑るが後半のスラブにはバッチリ効く
・CSのような6m滝の直登は厳しい 巻道もそれほど良くないが支点は取れる。
・後半のスラブでの滑落に気をつけて
・登山道までの藪漕ぎはほとんどない

路肩に車を止めました。

入渓ポイント

堰堤は右から巻き

ひたすら平凡な沢を進む

ん?少し険しくなってきた?

いきなり滝が出現
本当にいきなり雰囲気が変わる

悪い雰囲気がする

これぞ沢登り!
直登は断念

続く楽しい沢

突っ張って登るのが沢スタイル!

どんどん出てくる滝

ここら辺で熊と遭遇
非常に焦った

スラブは怖い
ラバーソールはバッチリ効く!

詰め上げは大した事はない

登山道は快適

お疲れ様でした。
筆者のおすすめ装備
ウエア類
沢登りでは水中の中に入る事も多く体温が低くなりがちです。
足袋タイプは足先の感覚が掴み安く登攀しやすいのがメリットです。
とりあえずこれから沢を始める方はフェルトをオススメします。
ソックスはネオプレン製がオススメです。
沢は常に濡れるので普通のソックスではNG 保湿力があるネオプレンソックスがオススメです。
足袋の場合はソックスも合わせよう。
沢には砂利が沢山あるので靴の中に入ってきますのでスパッツで入るのを防ぎます。
脛をぶつける事もお多いのでサポーターとしても非常に頼りになります。
沢ではいくら防水ザックを使っても中に水が入る事を想定しなければなりません。
ザックの中にインナーとして防水スタッフバッグは必携です。
ギア類
懸垂下降が必要な箇所が出てくるのが沢登りです。
ビレイでも使える物を持っていきましょう。
ぺツル・BDを買っておけば安心です。
筆者はBDのATCガイドを使用しています。
セルフを取るのに必要なPASは絶対に忘れては行けません。
登攀だけだはなく、高巻きの際にも有効です。
安全を確保する為にPASは大きな力になってくれます。
ハーネスは軽くて立ったままでも着用できるタイプがオススメです。