【読書】アグルーカの行方 129人全員死亡、フランクリン隊が見た北極  角幡 唯介(著

アグルーカの行方 129人全員死亡、フランクリン隊が見た北極

アグルーカとはイヌイット語で「大股で歩く男」と言う意味である。
今回紹介するこの本は、北極大陸を角幡と荻田が三ヶ月以上を掛けて、過去に遭難を起こした
フランクリン隊の足跡を追うように足を進めていく。

この本を読む前に、1845年に出発した英国フランクリン隊を調べておいた方が感情移入しやすいかもしれないが
私は知識がない状態で読み初めたが、フランクリン隊の歴史や説明が本書で十分されているので問題なかった。
むしろフランクリン隊に興味を抱き、記事や映画を漁って読む事になったのは読み始める前には考えられなかった。

角幡氏は一般の人間では考えられないような壮絶な道を橇と共に乗り越えていくが、待っていたのはあまりにも厳しい自然の脅威だった。 平なように見えても実際は段差が多くて橇移動が難儀だと唇ヘルペスがあまりの寒さでつららの形に変わり果てるだとか普通ではありえない事が日常のように起こっている。

一番大変だと感じたのは、北極では野営が基本的であるが、気温が低すぎるので寝ている時に湿気が全て凍ってしまい、朝起きたら氷を取り除く作業が必要であるようだ。 とてつもなく骨の折れる作業である。
想像しただけで胃が痛くなりそうだ。

フランクリン隊の話を除いてみても、この本は素晴らしく面白い。
白熊がテントに寄ってきたり、空腹状態でも哺乳類はなかなか仕留める勇気が出ない角幡氏の心情など
息が詰まる思い出ページを捲っていた。
個人的に自然と涙がでたシーンがあるのだが、空腹に耐え切れなくなった2人が牛を仕留めて食べようとしたが、仕留めたのは妊娠していた母牛・・・ 子牛も周りにいて、野営地に母牛を持ち帰るも子牛は付いてきてしまう。
これ以上は書けないが、今思い出しただけでも心が痛いし。
動物を食べるという行為にどれだけ感謝の気持ちを感じていない自分に情けない気持ちを強く感じた。

話は変わるがテーマでもあるフランクリン隊の話ではあるが
1845年に二隻の船がヨーロッパとアジアをつなぐ北西航路を探す為に北極へ向かうが遭難
その後捜索隊が発見したのは、カニバリズム(人間が人間の肉を食べる事)の跡を始め奇妙な現在でも全てが解明されていらない。技術進歩のお陰でDNA採取などから死因などが詳しく研究できているようだ。

ぜひ一度この本を開いてみて欲しい。
自分が冒険していなくとも、悲痛な気持ち・高揚する気持ちを活字から感じられるであろう。
角幡氏とフランクリン隊が歩む同じルートでも装備が全く違う。
端的に現代の方が簡単なのである事を角幡氏が改めて感じながら、過去の人を思う気持ちは美しいと言う言葉がふさわしいのではないかと心から強く思った。

 

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